静脈学
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総説
わたくしと静脈—外科医60余年を顧みて—
久保 良彦
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ジャーナル オープンアクセス

2022 年 33 巻 1 号 p. 29-35

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抄録

筆者は外科医として40年あまり,大静脈から動脈へ,その血行再建材料の実験的および臨床的研究に携わり,以下の認識を得た.1)一般に織布人工血管は大動脈からそけい靭帯レベルの動脈再建に用いて,機能的にほぼ満足できる結果が得られる.しかしその器質化は望み難く,理想的代用血管といい難い.2)小口径代用血管として臨床使用に耐えられるのは自家静脈をおいて他になく,とくに下肢ではその応用はほぼ限界と思われる足関節レベルに達した.3)長寿社会の到来で自家静脈に代わる小口径代用血管の開発は喫緊の課題となった.ナノレベルに達しているテクノロジー,バイオテクノロジーと良質な知識のコミュニティーの協同で,臨床使用に耐えられる小口径代用血管の開発が待たれる.4)筆者はわが国のユニークな医局制度が知識のコミュニティーとして発展することを期待する.

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