静脈学
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手術・手技の工夫
今なぜあらためて硬化療法研究会なのでしょうか? Compression Sclerotherapy—私はこうしている—
田代 秀夫
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ジャーナル オープンアクセス

2023 年 34 巻 3 号 p. 383-387

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抄録

下肢静脈瘤治療が,レーザーや高周波,Glue塞栓術のみで完結,残存ないし再発静脈瘤が,そのまま放置されている憂いがある.下肢静脈瘤の根本原因は,下肢静脈高血圧であり,それに対する根本治療は,圧迫療法である.筆者は,この根本思想に基づいて,下肢静脈瘤硬化療法を行ってきた.以下にその要諦を記す.硬化療法前にも適切な弾性ストッキングなどでの圧迫療法を施行し,浮腫や腫脹を軽減してから硬化療法を行う.自然消退する静脈瘤もあるので,注射箇所や薬剤の使用量を抑えることができる.術前の圧迫療法により,皮膚の循環障害も改善されるので硬化剤の注射による皮膚合併症も軽減できる.腫脹や浮腫が軽減することで,確実に皮下に静脈瘤を視認できるようになるが,必要に応じて,静脈の可視化デバイスも併用する.硬化剤は,全量foamではなく,foamとliquidを半々に調製して使用した.硬化療法後の圧迫療法として,硬化剤注入部位にウレタン製圧迫パッドを使用し,弾性包帯で固定する.翌朝より夜間を除き弾性ストッキングを約4週間の着用を励行し,良好な治療効果が得られている.

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