新型コロナウイルス感染症(COVID-19)における静脈血栓塞栓症(VTE)を主とした血栓症対策として,当院入院94例に「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)における静脈血栓塞栓症予防の診療指針2021年4月5日版(Version 2.0)」に基づいて予防対策を講じた.入院中最重症時重症度は,軽症・中等症I 18例(19.1%),中等症II 59例(62.8%),重症17例(18.1%)であり,軽症・中等症I 2例(11.1%),中等症II 56例(94.9%),重症17例(100%)に予防的抗凝固療法を施行した.VTE発症は肺塞栓症,下腿型深部静脈血栓症を発症した重症例1例(1.1%)のみ,他に下行大動脈血栓症1例を確認,大出血を2例(2.1%)に認めた.COVID-19入院症例に選択的にヘパリンによる予防的抗凝固療法を行うという診療指針に基づいた血栓症予防対策は妥当であった.