静脈学
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原著
静脈血栓塞栓症(VTE)に対する直接経口抗凝固薬(DOAC)の使用経験と今後の展望
中井 義廣角瀬 裕子
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2024 年 35 巻 1 号 p. 53-58

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抄録

当院で静脈血栓塞栓症に対して直接経口抗凝固薬を用いて治療を行った164例を対象とした.リバーロキサバンを用いた49例をR群,アピキサバンを用いた97例をA群,エドキサバンを用いた18例をE群とした.平均年齢はR群67.2歳,A群78.0歳,E群72.0歳でA群がR群より有意に高齢であった(p<0.001).女性の比率は,R群よりA, E群が有意に高率であった(p=0.026).血栓の中枢型の割合は,A群がR群,E群より有意に高率であった.内因性クレアチニンクリアランス(mL/min)の平均値は,A群57.2, R群78.9(p<0.0004),E群76.0(p<0.05)とA群が有意に低値であった.全体のCRPの陽性率は70.7%と高率であったが,各群間では差がなかった.血栓の平均退縮期間は,R群8.0週,A群7.6週,E群11.2週と有意差はなかった.平均投薬期間はR群6.1カ月,A群6.0カ月,E群7.3カ月と差を認めなかった.再発率は,R群18.4%,A群11.3%,E群22.2%で有意差は認めなかった.いずれの群も大出血例は認められなかった.

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