本稿では,フィルムセンターが株式会社IMAGICAと富士フイルム株式会社の協力を得て実施した『銀輪』(1956年)のデジタル復元の概要を解説することによって,三色分解フィルムを用いた映像の長期的な保存の可能性を検討した.本文Fig. 3に示したように,異なる3つの方法で作成した復元版の上映用プリント(③・⑤・⑦)を比較検証した結果,いずれもほぼ同等の画質をもった映像として復元することができた.さらに②と④を比べると,解像度の点で④が勝っており,新開発されたデジタル・レコーディング用の白黒ネガフィルムは,映像の長期保存性に加え,画質面での優位性も確認された.