日本写真学会誌
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一般論文
アユタヤおよびバンコク王朝期のタイ壁画の色彩研究
ラクパイトゥーン カナカーン青木 直和小林 裕幸
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2013 年 76 巻 1 号 p. 77-87

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抄録

タイの壁画の題材は宗教画,民衆の風俗,そしてそれらと並んでその時代の王朝の栄華を描いたものも多く,各王朝それぞれの時代背景を反映した特徴を有している.タイの王朝はアユタヤ王朝(1351-1767年)とバンコク王朝(1782-現在)から成る.文化や海外との外交関係は各王朝期で異なる.また,利用できる顔料の数も各王朝期で異なり,壁画の特徴は各王朝期の時代を反映していると言える.ほとんどの壁画は仏教寺院で制作されており,色使いは同じフレスコ技法を用いた西欧の壁画とはことなる特徴が観られる.本研究は,タイ各王朝期の壁画に使われている色を,スキャナを用いて画集から取得し,L*a*b*空間にプロットした.その分布からTwo-stepクラスタリング法とK平均クラスタ法を用いて代表色を求め,ポンペイやルネサンスのフレスコ画と比較して議論した.さらに,配色カラーイメージスケールを用い,各時代の配色の印象を求めた.

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© 2013 社団法人 日本写真学会
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