日本写真学会誌
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ゼラチンの分子量分布の調整に関する研究
鐘ケ江 穣大川 祐輔小林 裕幸大野 隆司
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1995 年 58 巻 1 号 p. 9-13

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抄録

我々は超音波照射によりゼラチンの分子量分布を調整し, これによりゼラチンの物性をコントロールする事を目的として研究を行ってきた。これまでに, 分画したゼラチンの各成分の超音波による分解過程は一次反応であることを明らかにしたが, 複数の成分が共存するゼラチンにおいて, ある成分の分解過程に対して他の成分がどのように影響するかは明かではなかった。
今回我々はアルカリ処理ゼラチンを分画することによりほぼ純粋にH成分のみを含む試料と, H及びγ成分が混在する試料を調製してこれに超音波を照射し, H成分の分解過程を解析することで, 共存する成分がH成分の分解速度に及ぼす影響を調べた。その結果, H成分の分解速度定数はH成分及び共存する他の成分の個々の濃度には関係なく, 試料ゼラチンそのものの濃度によって決まることが判明した。また, これはγ成分についても同様であること, 原料及び工程の異なるいくつかのアルカリ処理ゼラチンのH成分についても成り立つことがわかった。

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