日本写真学会誌
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N'-アシルーN-フェニルヒドラジンの分光電気化学的研究
小林 裕幸遠藤 正也大川 祐輔大野 隆司
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1999 年 62 巻 1 号 p. 50-52

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抄録

いわゆる “ヒドラジン効果” の機構はSirnsonによって提案されている。それによると, PQ現像液中ではN'-アシルーN-フェニルヒドラジン (R-Ph-NHNH-COR1) はp一ベンゾキノン (Q) によってN1-アシルーN-フェニルジアゼン (R-Ph-N=N-COR') に酸化され, R-Ph-N=N-COR'は加水分解され, 強還元性物質フェニルジアゼン (R-Ph-N=NH) となり, 未露光ハロゲン化銀をカブラせる。今日この機構は一般に受け入れられているが, R-Ph-N=NHの生成をうらづけるような実験結果は未だ報告されていない。本研究は分光電気化学法を用いてこのうらづけを得ることを試みたものである。実用の系に近いpH11.5のアセトニトリル/水 (1/1) 溶液中でN一ホルミルーN-(4-フェニルスルフォンアミドフェニル) ヒドラジンをQで酸化すると, 350nmに吸収をもつ物質が生成した。この溶液のサイクリックボルタモグラムと同時に測定された350nmでの吸光度変化から, 350nmに吸収極大をもつこの物質が-1.1Vvs.Ag/AgCl付近で還元され始めること, そしてこの還元生成物の一つはこれと同じ電位-1.1V付近で, もう一つの生成物は-0.5V付近で酸化される非常に強力な還元性物質であることがわかった。

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