日本写真学会誌
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カラー銀塩感光材料の技術革新史
第2部発色現像 (その2) カップラー内蔵型感材の実現とその衝撃
大石 恭史
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2008 年 71 巻 4 号 p. 259-275

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抄録

1936年に, 革新的な技術に基づくAgfacolor Neu反転フィルムの突然の市場導入によって近代カラー写真が開幕した. Agfa社のWSchneiderらは, 分子内に脂肪族基と酸基を併せ持つ耐拡散性カップラーを乳剤層に組み入れることによって, 1度のカラー現像によってネガ像, 反転像のいずれをも形成できるこの革新技術を実現したのであった. これに対抗してEastman Kodak社の研究者は, 分子内に疎水性基のみを持つ「オイル分散型」の耐拡散性カップラーを案出して, 1941年に類型のKodacolor反転フィルムを開発した. これら新型のカラー感材の出現によって, 在来の多様な加色法プロセスは急速に衰退していった.

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