抄録
積雪地域の河川では,融雪水が水質に大きな影響を与えるため,積雪・融雪の影響の把握が重要であるが,融雪の影響の少ない期間の水質も正確に理解しておく必要がある。しかし,特に積雪の多い多雪地域では,積雪の少ない河川とは異なり,融雪水の影響は初夏まで残り,影響のない期間は短期間である。このことから,温暖積雪域での積雪と融雪の影響をできるだけを除外して考察するため,まず,非降雪期の水質特性の把握を試みた。本稿では,豪雪地域である信濃川支流魚野川本流及び支流における2009年4月から12月にかけての水質調査結果に基づき,本流の水質やその変動について考察を行った。対象期間の本流の電気伝導度(EC)の平均値は,中流部で最も高く,変動が大きいのは上流部であった。上流部のEC値の変動要因は,積雪期に撒かれた凍結防止剤成分が融雪期に流出し,Na+,K+,Cl-が増加するためである。中流部の高いEC値は,Na+やCl-,SO42-等の温泉成分が混入した河川の影響を受けていることが示唆された。