陸水物理学会誌
Online ISSN : 2435-3043
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巻頭言
原著論文
  • 鈴木 啓助, 西村 基志, 佐々木 明彦
    2026 年8 巻1 号 p. 5-
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/05/01
    ジャーナル オープンアクセス
    槍穂高連峰と常念山脈の間を流れる梓川の上流域では,厳冬期には-20℃を下まわる気温が頻繁に観測される。梓川上流域の月流出高は2月に最小となり,5月から7月にかけて飛躍的に大きくなる。春から夏にかけて流出高が大きくなるのは,流域内での融雪による水量が降雨に加算されるためである。流出高が少なくなる厳冬期であるはずの2024年2月に一時的な融雪が発生し,梓川上流域の流出高も一時的に増加した。大正池観測地点では,2月12日から22日の間で積雪深が58 cm減少した。この期間は,南から暖かい空気が流れ込んだことにより,全国的に気温が高くなった。厳冬期の一時的な融雪が発生した要因を熱収支解析により明らかにすることを目的に研究を行った。大正池観測地点での積雪表面の熱収支解析によると,この期間は下向きの短波放射に加えて下向きの長波放射も大きくなり,時には下向きの顕熱輸送量も観測された。大きな下向きの長波放射と顕熱輸送量は,2024年2月の特異な事例であり,異常な気温上昇が厳冬期の一時的な融雪の要因であると考えられる。
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