陸水物理学会誌
Online ISSN : 2435-3043
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巻頭言
原著
  • 知北 和久, 大八木 英夫, 牧野 昌, 漢那 直也, 刀根 賢太, 坂元 秀行, 波多 俊太郎, 安藤 卓人, 白井 裕子
    2020 年 2 巻 1 号 p. 3-13
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/06/10
    ジャーナル オープンアクセス
    北海道の火山性カルデラ湖である俱多楽湖(くったらこ)において,2013年~2016年間に計4回の冬季結氷状態を調べ,気候条件との関係を探った。俱多楽湖は毎年,12月下旬に湖水の全層循環が起こり,その後1月~3月に気象条件に応じた結氷現象が生じる。観測期間中,2015年は暖冬で凍結せず,2013年,2014年,2016年の冬は全面結氷期間がそれぞれ83日,52日,33日と2016年冬が比較的暖かかった。俱多楽湖では,1978~2019年における1~3月平均気温の上昇率は0.0280 ℃/年(信頼度水準97.0 %)と見積もられ,この上昇率に基づく湖氷の成長・融解への影響が検討された。ここでは,全面結氷後の雪・氷・水の三層における熱収支を考慮した1次元モデルを適用し,湖氷の厚さの時間変化を再現した。計算された氷厚は2013年と2014年で観測された氷厚とほぼ一致し,熱収支評価が正しいことが裏付けられた。氷厚に対する数値実験の感度を調べるため,10年後に気温が一様に0.28 ℃上昇するとした場合の氷厚計算を行った。解析の結果,2013年, 2014年, 2016年で平均氷厚がそれぞれ,9.1 %, 57.0 %, 83.3 %減少し,暖冬ほど薄氷化が強いことがわかった。
  • 花石 竜治, 大坂 直人, 知北 和久
    2020 年 2 巻 1 号 p. 25-45
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/07/23
    ジャーナル オープンアクセス
    青森県・十二湖の一つ青池の青色呈色について,この呈色を再現する既報のモデルを精緻化した。精緻化したモデルでは,水の密度変動散乱係数および体積散乱関数を文献から引用し,立体角の算出法を改良した。また,湖底乱反射および水の密度変動散乱による光強度式を,光束をもとに記述した。画像解析から,青池画像におけるRGB 値の理論値を観測値に結び付けるスケーリング・ファクタを決定し,これからデジタルカメラ感度係数を分離した。その結果,観測値対理論値の直線関係は高い決定係数を持つことが明らかになり,画像の広い範囲の呈色の観測値がよく再現された。以上により,精緻化したモデルは青色呈色をほぼ定量的に記述でき,その妥当性が示された。
短報
  • 堀内 雅生, 小寺 浩二
    2020 年 2 巻 1 号 p. 15-24
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/06/10
    ジャーナル オープンアクセス
    火山地域を含む流域では,噴火による噴出物や湧水中の溶存成分の増減が,流域の水環境に影響を及ぼすことが考えられる。箱根山では2015年6月29日に大涌谷で噴火が発生し,噴火後,大涌沢や早川で強い濁りがみられた。このため,大涌沢や早川等の周辺河川や降水を継続して1~3か月ごとに採取し,溶存成分の変化を把握した。大涌沢では,噴火後に高ECが観測されたものの,その後,値は徐々に下がった。大涌沢の陰イオン中に含まれるCl-の割合を求めた結果,噴火直後は高かったものが1年後には低下する傾向がみられた。また,降水の水質組成には火山ガスの影響が認められ,主な噴気孔である大涌谷との距離が近い観測地点の降水ほど,溶存成分量が多いことが明確となった。
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