順天堂医学
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原著
ヒトおよびウサギ多形核白血球に関する研究
-分離とそれらの2, 3の性質の検討-
高森 建二
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1977 年 23 巻 2 号 p. 252-261

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抄録
ヒト静脈血とウサギ動脈血およびウサギ腹腔滲出液からの多形核白血球の分離法と, 得られた白血球の2, 3の性質を調べた. 1. ヒト静脈血からの白血球の回収率は40-60%で, その93-96%が多形核白血球であり, 白血球の生存率は95-98%であった. ウサギ腹腔滲出液から得られた白血球は, 93-97%が多形核白血球で, 84-90%の生存率を示した. 一羽めウサギから2-8×108個の多形核白血球を得ることができた. 2. トリス溶液を白血球浮遊液として用いた場合には著明な凝集を起こしたが, 細胞培養液として広く用いられているリン酸緩衝塩類溶液では, 白血球の凝集はみられなかった. 3. ウサギ多形核白血球はヒト多形核白血球より, 機械的刺激に対して不安定であった. 4. ヒトとウサギ多形核白血球に含まれる酵素量を比較したところ, β-グルクロニダーゼ, ペルオキシダーゼ, リゾチームおよび乳酸脱水素酵素は, 両者間に大きな差異は認められなかった. しかし酸性フォスファターゼは, ヒト多形核白血球の方が約12倍多く, アルカリフォスファターゼは逆にウサギの方が約6倍多く含まれていることが示されたが, フォスファターゼ全体としては, 両者間に差異はみられなかった. 5. ウサギ腹腔滲出液から調製した多形核白血球と動脈血から調製した多形核白血球の間には, 膜の安定性および酵素量において差異は認められなかった.
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© 1977 順天堂医学会
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