順天堂医学
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原著
第2編 喫煙の気道抵抗におよぼす影響について
Part 2 Evaluation of Effect of Cigarette Smoke on Airway Resistance
鷲崎 誠
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1980 年 26 巻 1 号 p. 52-62

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抄録
第1編で改良を加えた恒圧型体プレチスモグラフの構造および本装置による気道抵抗 (Raw) の正常値について報告したが, 本編ではひきつづき気道抵抵におよぼす喫煙の慢性, および急性効果, β-blockerの使用効果, 喘息タバコの効果について検討し, 以下の成績を得た. 1. 健常者52例について気道抵抗および特種気道コンダクタンス (SGaw) を測定したが, 軽度喫煙者群と非喫煙者群との間に有意差を認めなかった. すなわち軽度以下の喫煙の慢性効果は, Raw, SGawの異常をもたらす程のものではないとの結果を得た. 2. 喫煙直後のRawおよびSGawの変化は, フィルターの有無により明らかな差を示した. すなわちフィルター付セブンスターでは喫煙前後の変化は認められなかったが, 両切りピースでは喫煙直後Rawは上昇し, SGawは低下した. フィルターは喫煙による気道閉塞現象の防止に役立つと解される. 3. β-blockerの事前投与はPlacebo投与に比し, 喫煙直後のRawとSGawの変化を増幅する. すなわち喫煙による気道閉塞現象はβ-blockerたより助長された. 4. 喘息煙草「葯烟」を気管支喘息患者に喫煙させ, その前後でRawとSGawを測定すると, 明らかに改善を認めた. 成分中のAtropine, Scopolamineの効果と解される.
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© 1980 順天堂医学会
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