順天堂医学
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26 巻, 1 号
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目次
Contents
特集 冠不全の診断と治療の最近の進歩
原著
  • 岩垂 正矩
    1980 年 26 巻 1 号 p. 29-42
    発行日: 1980/03/10
    公開日: 2014/11/21
    ジャーナル フリー
    ラット胎仔由来の上皮性培養肝細胞を用い, 各種抗生物質の細胞毒性に関するスクリーニングを行なった. また, 一部のものについてヒト培養肝細胞を用い比較した. その結果, Gentamicin, Penieillin, Streptomyein, Kanamycinとも, 細胞増殖に対する作用および形態変化はそれぞれ異なり, 薬剤の毒性に差異のあることが判った. また, 生化学的所見においても細胞毒性と比例して, β-Glucuronidase活性の低下・Lactate dehydrogenase活性の増加などが認められた. 染色体観察においても, 高用量になるとchromatid aberrationが増加し, 又回復期を設けることにより2倍体・4倍体の増加が認められた. また, ラット肝細胞とヒト肝細胞との間には, 薬剤に対する感受性に差はなかった.
  • 第1編 Mathys恒圧型体プレチスモグラフ改良型の試作とそれによる気道抵抗正常値について
    鷲崎 誠
    1980 年 26 巻 1 号 p. 43-51
    発行日: 1980/03/10
    公開日: 2014/11/21
    ジャーナル フリー
    従来普及を阻んでいた難点を改良した恒圧式体プレチスモグラフを試作した. 被検者の呼吸運動によるbox内容量変化は, 側壁に取付けたニューモタコグラフにより描出し, loop formationに対する補償はboXの内圧変化を単にboxの容量変化にmixするだけで補償することができた. 特性試験を行なうと, 2.5-3.5Hzまではamplitude ratioは1.00±5%以内であり, phase lagは0.5-4.5Hzまですべて周波数にわたり零度で, 臨床応用が可能な装置であることが確認された. この装置を用いると被検者にpanting breathingをさせることにより, ほとんどのloop formationを補償できた. 本装置は恒量式体プレチスモグラフとは異なり, 被検者をboxに入れてから基線が安定して測定可能の状態になるまでの時間は非常に短かく, したがって, タバコ煙・気管支拡張剤・アレルゲン等の吸入による気道抵抗や, 肺気量の経時的変化の測定に操作しやすく有用な装置である. 本装置にて健康正常人 (非喫煙者) の気道抵抗を求めたところ, 男性は1.40±0.32cmH20/l/sec (n=8, 年令26.9±5.56才), 女性は187±0.37cmH2O/l/sec (n=12, 年令23.3±3.95才) でP<0.025の有意差で男性より女性の方が高い値を示した.
  • Part 2 Evaluation of Effect of Cigarette Smoke on Airway Resistance
    鷲崎 誠
    1980 年 26 巻 1 号 p. 52-62
    発行日: 1980/03/10
    公開日: 2014/11/21
    ジャーナル フリー
    第1編で改良を加えた恒圧型体プレチスモグラフの構造および本装置による気道抵抗 (Raw) の正常値について報告したが, 本編ではひきつづき気道抵抵におよぼす喫煙の慢性, および急性効果, β-blockerの使用効果, 喘息タバコの効果について検討し, 以下の成績を得た. 1. 健常者52例について気道抵抗および特種気道コンダクタンス (SGaw) を測定したが, 軽度喫煙者群と非喫煙者群との間に有意差を認めなかった. すなわち軽度以下の喫煙の慢性効果は, Raw, SGawの異常をもたらす程のものではないとの結果を得た. 2. 喫煙直後のRawおよびSGawの変化は, フィルターの有無により明らかな差を示した. すなわちフィルター付セブンスターでは喫煙前後の変化は認められなかったが, 両切りピースでは喫煙直後Rawは上昇し, SGawは低下した. フィルターは喫煙による気道閉塞現象の防止に役立つと解される. 3. β-blockerの事前投与はPlacebo投与に比し, 喫煙直後のRawとSGawの変化を増幅する. すなわち喫煙による気道閉塞現象はβ-blockerたより助長された. 4. 喘息煙草「葯烟」を気管支喘息患者に喫煙させ, その前後でRawとSGawを測定すると, 明らかに改善を認めた. 成分中のAtropine, Scopolamineの効果と解される.
  • 星野 明彦, 須田 耕一, 橋本 敬祐
    1980 年 26 巻 1 号 p. 63-68
    発行日: 1980/03/10
    公開日: 2014/11/21
    ジャーナル フリー
    周生期より19才までの剖検膵を用い, 膵の発育を膵の重量および膵の構成成分より検討した. 膵の重量は生下時約2g前後のものが, 幼児期 (1-5才) 平均では22.8gと約10倍になり, 青春期 (13-19才) 平均では58.49と約30倍に増加していた. これを膵の組織構成成分よりみると, 周生期を中心に外分泌腺房と間質が大きく変動し, 腺房の容積比率が著しく増え, 逆に間質が減少していた. 従って, 膵の発育は外分泌腺房の発育によるものと考えられた.
  • -特にAdenylate Cyclase, cyclic AMPおよびCa-ATPaseと臨床像との関連について-
    清田 明憲
    1980 年 26 巻 1 号 p. 69-78
    発行日: 1980/03/10
    公開日: 2014/11/21
    ジャーナル フリー
    胎盤の絨毛膜を介する物質の輸送機構とこれが胎児発育に及ぼす影響との関連性を知るためにヒト胎盤絨毛膜のCa-ATPase活性およびNa・K-ATPase活性を測定し, 同時にAdenylate Cyclase-cyclic AMP系を測定し臨床像との関連性を検討し次の成績を得た. 1. ヒト胎盤絨毛Ca-ATPase活性を比活性 (μmoles Pi/mg Protein/30min) でみるとその値は, 妊娠初期・中期および後期AFDで, 各々21.4±2.4, 31.4±6.7および25.8±4.4であった. 2. ヒト胎盤絨毛Na・K-ATPase活性を比活性 (μmoles Pi/mg Protein/30min) でみるとその値は妊娠初期・中期および後期AFDで, 各々0.95±0.10, 1.86±0.40および1.58±0.44であった. 3. LFDおよびSFD症例におけるヒト胎盤絨毛Ca-ATPase活性とNa・K-ATPase活性を比活性で示すと, Ca-ATPase活性はLFDで27.9±1.9, SFDで21.2±1.8であり, Na・K-ATPase活性ではLFDで1.50±0.35, SFDで1.68±0.34であった. 4. ヒト胎盤絨毛Adenylate Cyclase活性を比活性 (p moles of cyclic AMP formed/mg protein/15min) で示すと妊娠初期・中期および後期AFDの値は, 各々59.9±19, 7,100.9±19.9および115.2±27.8であった. 5. ヒト胎盤絨毛cyclic AMP濃度は妊娠初期・中期および後期AFDで, 各々21.3±8.0, 12.8±2.8および15.2±5.6p moles/mg Proteinであった. 6. LFDおよびSFD症例におけるヒト胎盤絨毛Adenylate Cyclase活性は比活性で示すとLFDでは149.7±13.8, SFDでは95.0±11. 第であり, またsyclic AMP濃度は, LFDで19.2±2.4, SFDで9.9±1.6p moles/mg Proteinであった. 以上の結果, 測定したこれらの物質は妊娠中期より高値を示し, 胎児発育がスパートする状態とほぼ一致する傾向にあり, これらの物質の代謝調節機構の中で果す役割から考察すると, 胎盤における物質のTransport機構及び胎児発育の一部にそれぞれ重要な役割を担っている事が示唆された.
報告
抄録
順天堂医学投稿規定
編集後記
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