順天堂医学
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周産期に行われる母児のベッドサイド検査
--当科のPerinatal Laboratoryについて--
古谷 博橋本 武次深間内 一孝渕脇 泰介
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1981 年 27 巻 2 号 p. 183-192

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抄録

人生の中で最も危険な時期であるといわれている周産期は, 母児共にしばしば不測の有害な合併症がおこり得る. それゆえ, 現代の進んだ方法で十分な看護と, 正確な監視が必要となる. 分娩室の直ぐ近くで, 患者の検査データが直ぐわかるように, よく整備されたperinatal laboratoryは, 周産期における最新の管理をするのに必要なものと考えられる. 病院と当科の協力によって, 我々のperinatal laboratoryでは, 次の如き検査が行えるようになり, その臨床的意義を以下に述べる. 1) 妊娠末期の胎児の健康状態を知るnon-stress test. 2) 胎児仮死を見つけるために分娩監視装置を用いる継続的胎児監視. 3), 妊娠末期と分娩中に潜在性胎児仮死を見つけるための羊水鏡検査. 4) 胎児予備能の大きさを知るための胎盤機能検査. 5) 新生児のための諸検査. 血液ガスと電解質の不均衡, 黄疸・低血糖・感染・染色体異常・先天性代謝異常など. 6) 母体に生命の危険をおこす循環器系の事故出血・産科ショックのための検査. 我々のperinatal laboratoryは, 特にハイリスク妊娠例にて, 母児の異常を早期にしかも正確にみつけ, 治療の成果を確認するのに役立っている.

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© 1981 順天堂医学会
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