順天堂医学
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原著
大腸ポリープと大腸早期癌に関する臨床的ならびにX線学的研究
勝田 康夫
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1982 年 28 巻 4 号 p. 515-528

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抄録

大腸癌の治療成績を向上させるために, 癌の早期発見は肝要なことである. 早期大腸癌の大部分は隆起型である. したがって, 大腸隆起性病変を見つけ出すために, 臨床症状ならびに注腸二重造影法によるX線所見について研究し, 以下の結果をえた. 1. 合理的で能率のよいX線検査を行うためには, 年齢, 症状, 疾患の罹患部位の特徴を知り, 検査前に病変を推定することが重要であった. 2. ルーチン検査では, 12枚のフィルムを使い, 仰向けの正面と両斜位が撮影の基本体位であった. 3. 隆起性病変の質的診断は, 大きさ・高さ・病変の立ちあがり・輪郭の性状によった. 4. X線検査では3mm位の小さな隆起性病変まで描出できた. 5. 初回X線診断で大腸ポリープのfalse positive率は38.3%であり, 見直しで23.4%であった. 今のところ内視鏡検査による補正がいるし, 今後, 前処置の新しい工夫と改良が必要である. 6. 直腸とS状結腸の集検と全大腸を検査する注腸X線検査との間に, まだ, 大腸隆起性病変の発見率で大きな差があった.

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© 1982 順天堂医学会
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