順天堂医学
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特集 肝炎から肝癌まで
肝炎, 肝硬変の生化学検査の意義
北見 啓之
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1983 年 29 巻 4 号 p. 457-463

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抄録

各種肝疾患における生化学検査の意義は, 診断, 経過観察, 治癒あるいは予後の判定にあると考えられる. しかし, 肝疾患はそれぞれにおいて異なる病態をとることから, 選択されるべき生化学検査も異なってくる. すなはち, 急性肝炎では経過観察と治癒判定が重要であり, それにはトランスアミナーゼの測定が有用である. さらに劇症肝炎の早期診断には凝固因子の測定が, 慢性肝炎の炎症所見の把握にはトランスアミナーゼとγ-グロブリンの測定が, 肝硬変の予後の判定にはICG検査が有用であり, 広く行われている. 本稿では生化学検査を肝細胞からの逸脱酵素, 肝で生成される蛋白質, γ-グロブリン, 胆道系酵素, 色素排泄試験の5グループに分け, 各肝疾患におけるこれら生化学検査の特徴およびその発現機序を述べ, その意義について略述した.

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© 1983 順天堂医学会
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