肝炎・肝硬変に対する治療は, 原因と病態によって多くの方法が開発実施されている. 劇症肝炎に対しては, プレドニゾロン大量投与, 血漿交換, グルカゴン・インシュリン療法を主とし・ヘパリン, アミノ酸混合液などを併用し, 救命率の向上を認めている. アルコール, 薬剤, 過栄養による脂肪肝の治療法は, その原因を除去することが基本である. B型肝炎ウイルスに対しては, 感染と発症の防止にワクチンとHBs抗体を高力価に含む免疫グロブリンが, 抗ウイルス療法としてはインターフェロン, Ara A, OK 432, トランスファーファクター, シアニダノール, レバミゾールが, またseroconversionにはrebound現象を利用した副腎皮質ホルモンや強力ネオミノファーゲンC (SNMC) の離脱療法が試みられている. 慢性肝炎の炎症抑制のためには, プレドニソロンとアザチオプリンが投与され, 特にHBs抗原陰性慢性肝炎には効果を認めている. ルポイド肝炎にはプレドニソロンが, 原発性胆汁性肝硬変症はDペニシラミンが使用されている. 肝硬変の腹水に対しては, 利尿剤あるいは, 腹水の血中再注入が行われている.
肝臓病に対する治療はないといわれた時代は遠い昔のことであって, 肝臓病治療学は新しい局面を迎えている.
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