順天堂医学
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原著
慢性膵炎における膵島細胞の病理組織学的および免疫組織化学的研究
小沼 一郎
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1983 年 29 巻 4 号 p. 550-560

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抄録

線維化を伴う慢性膵炎の膵島変化について, 病理組織学的, 免疫組織化学的および組織計測法的に検討した. その結果, 慢性膵炎の膵島は対照とした非膵炎例にくらべ, 大きさにばらつきがあり, 特に線維化巣内では不規則, 奇異な形状を呈するものが多く, 膵管から膵島への移行を思わせるductulo-insular proliferationも多数認められた. これらの膵島について免疫組織化学的にinsulin (B), glucagon (A), somatostatin (D), pancreatic polypeptide (PP) 産生細胞の膵島内構成比率を調べると, 慢性膵炎例の実質内膵島では対照例にくらべB細胞の減少とA, D, PP細胞の相対的増加を認めた. 一方, 慢性膵炎の線維化巣内には免疫組織化学的に2種類の膵島が認められた. 1つは膵島構成細胞数が多く, 実質内のものと同傾向を示す膵島であり, 他方は, 再生性のものと思われる小型のほとんどがB細胞によって占められる奇異な形状を示す膵島であった. 以上の所見から, 慢性膵炎においては膵の外分泌系のみならず, 内分泌系にも変化, 特に膵島構成細胞の構成比率に変化のおこること, また, 主としてB細胞の再生が起こってくることが強く示唆された.

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© 1983 順天堂医学会
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