抄録
肺炎球菌C多糖体 (CPS) に対する抗体応答に及ぼすヒトCRPの影響について検討した. 肺炎球菌3型ワクチンで免疫されたBALB/CマウスにおけるCPSに対する抗体応答が血清凝集抗体価で評価された. 免疫に先だつCRPの投与はCPSに対する抗体応答を有意に阻止した. この阻止に必要とされる最少CRP量は50μgであった. CRPの効果がparticulate抗原の処理に関係しているかどうか決定するため, マウスはCPSでコートされたウマ赤血球 (HE) で免疫され, HEあるいはCPSのそれぞれに特異的な抗体応答が測定された. CRP投与はHEに対する抗体応答に影響を及ぼすことなく, CPSに対する応答のみを阻止した. これらの所見は, 細菌上に存在する抗原決定基へのCRP結合がこの基による有効な免疫を妨げることによりもたらされることを示唆している.