順天堂医学
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原著
糖尿病剖検心の病理組織学的研究
-糖尿病性心筋疾患の検討-
清水 満
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1984 年 30 巻 2 号 p. 162-177

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抄録
成人型糖尿病剖検心60例と, 非糖尿病剖検心30例 (正常血圧20例, 高血圧10例) を対比し糖尿病に特有な心筋の病理組織学的所見を追求した. 糖尿病例は冠状動脈硬化の程度により, 無冠状硬化群, 一枝病群, 二枝病群, 三枝病群に分け, 別個に高血圧合併群, 心不全合併群, 心電図異常群を分けて心病変を比較した. 剖検心は肉眼的に大きさ, 冠状動脈病変を評価後, 両心室を含む横断面の心筋を切り出し, 通常の方法にて7μmに薄切し, H. E. azan, elastica-van Gieson, P. A. S. の各染色を施し光顕的に観察した. 心筋病変は心筋線維症の態度に注目し, 心筋細胞周囲線維症, 血管周囲線維症, 巣状線維症に大別し各群毎に半定量的に評価した. 心筋細胞周囲線維症は自動画像解析装置を用いて面積率を測定し, また内径30-40μmの心筋内細小動脈内腔狭窄度も算出した. 糖尿病性腎病変も合せて検討した. その結果, 冠状動脈硬化は糖尿病例で有意に強く, その促進因子として糖尿病と高血圧の合併が重要であった. 心筋内細小動脈では内皮細胞下P. A. S. 陽性物質沈着が糖尿病例で増強していたが心筋虚血を発生する程の内腔狭窄は認められなかった. 心筋線維症は心筋細胞周囲線維症のみ糖尿病心で有意に増強していた. その程度は主要冠状動脈病変や心筋内小動脈病変, 腎病変とは無関係で, 早朝空腹時血糖値と良い相関を示し, 虚血因子よりも糖尿病に直接関連した心筋・結合織の代謝障害と小血管の透過性亢進が病因と推定された.
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© 1984 順天堂医学会
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