順天堂医学
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特集 脳・腸管ペプチドの基礎と臨床
Gut peptides (主としてgastrin, secretin) よりみた消化性潰瘍の術前.術後の病態
渡部 洋三
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1985 年 31 巻 3 号 p. 368-380

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抄録
対象は消化性潰瘍146例で, 最高酸分泌量 (MAO) が20mEq末満のnormosecretor (N) 群が68例 (胃潰瘍35例, 十二指腸潰瘍33例), 20mEq以上のhypersecretor (H) 群78例 (胃潰瘍20例, 十二指腸潰瘍58例) に分けて検討した. 術後の症例は, SV+Pが12例, SV+Aが11例選ばれた. 方法は空腹時血中gastrinおよびsecretin, 各種刺激後のgastrin反応 (IGR) およびsecretin反応 (ISR), 幽門洞粘膜内gastrin含有量, 十二指腸球部粘膜内secretin含有量および細胞数などの測定のほか, G細胞の電顕学的検索を行った. その結果十二指腸潰瘍およびH群の胃潰瘍はfunctioning G cell massが多く, かつ迷走神経の関与が大きいことが分り, これが壁細胞に対する迷走神経の関与の大きいことと相俟って潰瘍発生の一病態となっているものと思われる. SV+P後のG細胞は術後1カ月目よりhyperplasiaとhyperfunctionの状態にあり, 肉汁エキスによく反応した. 一方secretinに関しては, 消化性潰瘍群でその産生障害が示唆され, ことにH群ではこの傾向が強かった. これも潰瘍発生の一因となっているものと思われる. SV+A後はsecretin反応, secretin細胞数ともに著変はみられなかった.
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© 1985 順天堂医学会
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