抄録
Xeroradiographyは寛容度の広さと辺縁効果を特徴とする静電画像技術である. 現在各科の領域で応用されているが, 骨疾患に対するXeroradiographyの意義は今だ確立されているとは言い難い. 本研究では骨標本を用いてXeroradiogramとX線写真の画像上の特徴を示し, 骨病変を有した26症例の呈した病的所見のXeroradiogramとX線写真とを比較検討してXeroradiographyの骨疾患に対する有用性と限界について考察した. 検討した病的所見は, (1) 骨膜反応, (2) 骨皮質破壊像, (3) 骨透亮像, (4) 骨硬化像, (5) 病変の内部構築, (6) 硬化縁, (7) 骨内石灰化像, (8) 軟部組織の異常および骨病変と軟部組織との関係, である.
Xeroradiogramでは骨透亮像, 骨硬化像などの濃度の変化を主体とする所見の描出が不良であった. しかし骨硬化, 骨皮質肥厚, 腫瘤などを伴う溶骨性病巣の所見の描出能はすぐれていた. また骨膜反応は, 軟部組織の異常などの傍骨性変化に対する描出能がすぐれていることが再確認できた.