順天堂医学
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原著
残胃癌の臨床的ならびにX線学的検討
浜田 勉
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1986 年 32 巻 1 号 p. 55-67

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抄録
1. 残胃の癌の切除例30例 (進行癌21例, 早期癌9例) を臨床的・病理学的に検討した. 初回病変が癌で手術された13例 (A群) と, 良性疾患で手術された17例 (B群) とに分けて癌の部位と手術から残胃に癌が発見されるまでの経過年数とを調べた. その結果, 術後経過年数が10年以内の例を初回手術時の癌の見落し, または, 癌の再発と考え, 術後経過年数が10年以上の例を残胃に新生した癌 (残胃新生癌) と定義した. 2. 残胃新生癌91例 (自験例18例, 文献例73例) と, 通常の胃の上部1/3の領域の癌 (自験例181例) とを, 部位と肉眼型について対比させた. その結果, 残胃新生癌は吻合部 (とくに, Billroth II法) に多く, 肉眼型は進行癌では通常の胃と変わらないが, 早期癌では陥凹型よりも隆起型が多かった. 3. 残胃新生癌の早期癌28例33病変 (自験例8例11病変, 文献例20例22病変) のうち, X線検査でみつけたのは, 69.7%であった. 隆起型では1cm, 陥凹型では4cm以上がX線的ひろいあげの限界であった. 4. 残胃の早期癌9例12病変 (自験例) を用いて, X線所見と撮影方法を検討し, 早期癌をみつけるためには, 二重造影法を中心とし圧迫法を加えなくてはならないとの結論に達した。
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© 1986 順天堂医学会
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