学校メンタルヘルス
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Print ISSN : 1344-5944
原著論文
高校生用日本語版心理専門職への援助要請に関する態度尺度短縮版( ATSPPH-SF)の信頼性および妥当性の検討
佐藤 修哉安保 英勇藤川 真由内田 知宏上埜 高志
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2014 年 17 巻 2 号 p. 142-151

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抄録

心理専門職への態度を測定する尺度であるAttitude Toward Seeking Professional Psychological Help-Short Form(ATSPPHSF)は,多くの先行研究で使用されてきた。しかし,原版では因子構造が安定しない問題点が指摘されているうえ,日本語版では妥当性が検証されていない。本研究の目的は,高校生を対象に日本語版ATSPPH-SFを作成し,因子構造および信頼性と妥当性を検討することである。

高校生454名を対象に予備調査を実施したところ,カウンセラーへの信頼感とカウンセラーへの抵抗感の2因子からなる10項目の尺度を得た。予備調査の結果を踏まえ,高校生277名を対象に本調査を実施した。その結果,5項目1因子構造の心理専門職への態度尺度が得られた。内的一貫性を示すCronbachのα係数の値は.77であり,再検査法による信頼性係数は.67であった。併存的妥当性も確認され,確認的因子分析の結果も良好であった(χ2(5)=7.149, p=n.s., GFI=.989, AGFI=.968, CFI=.994, RMSEA=.039)。さらにI-T相関,GP分析の結果,削除すべき項目は確認されなかった。

原版の尺度は10項目1因子構造である。先行研究と同様,本研究でも因子構造の不安定さが確認された。予備調査では10項目2因子構造,本調査では5項目1因子構造の結果が得られ,原版と異なる因子構造が得られた。原版の10項目の場合,いくつかの先行研究で指摘されている通り,因子構造が不安定であった。ただし,予備調査と本調査ともに,第1因子については同じ項目から成り立っており,それはいくつかの先行研究においても同様であった。信頼性と妥当性が確認できたことから,5項目1因子構造にて高校生用日本語版ATSPPH-SF尺度とした。

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© 2014 日本学校メンタルヘルス学会
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