順天堂医学
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特集 心疾患における最新の診断と治療
超音波カラードップラー法の進歩
町井 潔
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1987 年 33 巻 4 号 p. 479-494

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抄録
カラードップラー心エコー図の最近の進歩と臨床応用について解説した. 本法は通常の断層心エコー図に重ねて, 心臓の任意の断面の血流速度分布図を実時間に動画として表示するもので, 心臓超音波検査の信頼性と領域を飛躍的に高めた. 特に従来の心エコー図で表示が困難な逆流性弁膜症, 左右短絡のある先天性心疾患にその威力が証明されているが, さらに肥大型心筋症の狭窄部位や, 虚血性心疾患の左室内血流分布・心室中隔破裂・冠動脈血流・大動脈解離の診断など, あらゆる心疾患に広く応用されている. また本法と連続波ドップラー法と組合わせて, 狭窄の圧較差の計測・肺動脈圧の推定を行うなど, 従来の心カテーテル検査のすべての情報を無侵襲で, より簡単に得られるようになった. 類似の情報は高速CTやMRIでも得られるが, 本法は比較的に安価な装置で, bedsideで誰でも容易に施行できる点で優れており, 今後長く臨床心臓病学の分野で役立つと思われる. 将来の進歩に関しては, より速い血流のartefactのない記録・血流量の表示・より安価・小型で, 診察机の上における程度の装置の開発, 冠動脈血流診断の実用化などが期待される.
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© 1987 順天堂医学会
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