順天堂医学
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症例報告
“痛みに対する恐怖” によって誘発されたてんかん稀発発作の一例
鈴木 裕子加藤 知子岡田 滋子井上 令一
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1990 年 35 巻 4 号 p. 525-528

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抄録

てんかん特性のひとつは発作が間歇的に反復して出現することであり, 熱性けいれんのような散発性のisolated seizure (孤立発作) や子癇などのように, 特定の期間のみに出現するoccasional seizure (機会発作) は, 普通“てんかん”から除外される. しかし, 『発作頻度の少ないてんかん発作』稀発てんかんoligoepilepsyと呼ばれているものが存在し, その診断は臨床上困難であることが多く, また上記てんかんの定義に対して問題を提起しやすい1) . 今回われわれは, 47歳の女性で〈痛み〉または〈痛みに対する恐怖〉を引金として, generalized tonic-clonic convulsionを起こし, 脳波上, 左前頭・前-中側頭部にsmall spikeの散発を認め, Stress convulsionの臨床像を呈するoligoepilepsyの症例を経験したので, これを報告するとともに, reflex epilepsy等との鑑別について考察を加えた.

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© 1990 順天堂医学会
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