順天堂医学
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特集 癌性疼痛管理
下垂体ブロック
柳田 尚
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1992 年 38 巻 1 号 p. 37-47

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抄録

下垂体に1ml以内のアルコールを, X線透視下に鼻孔から篩骨蝶形骨洞を通して注入する除痛法を下垂体ブロックと称する. この除痛法は, 癌性疼痛のなかでも常時存在する境界不鮮明な鈍い痛みに対して有効であり, 限局した部位に体動時などに放散する鋭い痛みに対しては無効である. この除痛機序は, 下垂体に存在する下垂体抑制系がアルコールによって賦活されることによるものであるから, 初期の頃のように下垂体を破壊する必要はない. したがって, 下垂体破壊にともなう種々の副作用・合併症の可能性はほぼゼロと考えてよい. 筆者の施行した1,772症例を中心に, 下垂体ブロックの手技・除痛成績・副作用・合併症について述べる.

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© 1992 順天堂医学会
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