1992 年 38 巻 3 号 p. 435-439
B型肝炎の経過中に肝以外の症状を呈することはよく知られているが, 神経症状を合併することは極めて稀である. われわれは急性B型肝炎の経過中に視神経炎を合併した症例を経験したので報告する. 症例は, 肝炎発症2週目頃より視力障害を訴えるようになり, 視神経炎の診断をうけた. 視力障害は急速に進行したため, ステロイド療法を開始したところ, 肝機能の改善とともに症状は著明改善をみた. 視神経炎発症時の血中および髄液中のImmune Complexはともに陰性であったが, 髄液中のHBs抗原が陽性であり, B型肝炎と視神経炎との何らかの関連性が疑われた. 急性B型肝炎と視神経炎の合併の報告は非常に稀であり, 興味ある症例と考えられた.