抄録
胆嚢癌39切除例のパラフィン包埋ブロックを研究対象として, 細胞単離法による落射型顕微蛍光測光法を用いて核DNA量を測定し, 胆嚢癌の核DNA ploidy patternを検討した. 胆嚢癌の核DNA ploidy patternをdiploid pattern17例, aneuploid pattern22例に分類し得た. 核DNA ploidy patternと病理組織学的因子との関係をみると, リンパ管浸潤・神経周囲浸潤・リンパ節転移と核DNA ploidy patternとの間に有意な相関を認めた.
aneuploid pattern群はdiploid pattern群に比べ有意に予後不良であった. 病理組織学的条件をそろえた検討においても, aneuploid pattern群はdiploid pattern群に比べ予後不良であった. 以上の成績より, 核DNA ploidy patternは胆嚢癌の予後判定の指標として有用な因子であると考えられた.
