抄録
わが国では社会の高齢化と食生活の欧米化により大腸癌が増加している. これにともない, 職域健診や地域健診の大腸癌のスクーニングにおいて, 化学的便潜血検査にかわって免疫学的便潜血検査が行われ成果をあげている. しかし, 一般診療では診断技術の進歩もあって, 最近では消化管疾患における便潜血検査は軽視される傾向にあり, また社会保険の適用もおくれ検査頻度は少ない. われわれは, 免疫学的便潜血検査陽性を呈した検診群と診療群, また便潜血検査を行わなかった無検査群と大腸X線検査を対比し, 免疫学的便潜血検査の有効性を検討した. 有所見率は検査群64.3%・無検査群47.7%であり, 検査群のうち検診群68.9%・診療群75.0%であった. また大腸癌発見率は, 検査群3.5%・無検査群0.9%で診療群6.1%であった. 免疫学的便潜血検査による下部消化管補助診断は, 職域検診や地域検診におけるスクーニングばかりでなく, 一般診療においても有用である.