順天堂医学
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症例報告
腹腔鏡下直腸切除術の経験
小林 滋稲吉 達矢坂本 一博榊原 宣山田 聰荒牧 長門
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1994 年 40 巻 1 号 p. 83-86

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抄録

早期大腸癌に対し, ポリペクトミー・粘膜切除 (EMR) など大腸内視鏡による治療は, 根治可能な治療法として確立されてきている. しかし, 早期であっても粘膜下層まで浸潤した癌ではリンパ節転移の可能性があり, 根治治療のため開腹して腸切除を追加する必要のある症例も多かった. 一方, 腹腔鏡下手術は胆嚢摘出術の普及に伴い, 消化器外科領域では侵襲の少ない手術としてさまざまな疾患に対し試みられている. われわれは, 早期癌に対して最小限の侵襲で, かつ根治性の得られる術式として粘膜下層まで浸潤した大腸早期癌に対し, 腹腔鏡下腸手術の適応があると考えている. 今回, 直腸早期癌と診断された33歳の女性に腹腔鏡を用いて, 直腸を切除し腹腔外へ摘出した後, 経肛門的に自動吻合器を挿入して, 腹腔内で腸管吻合を行う, いわゆる腹腔鏡下直腸切除術を行ったので, その手術手技を含め報告する.

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© 1994 順天堂医学会
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