順天堂医学
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原著
黄体化ホルモン放出ホルモン (LHRH) 産生ニューロンの起源について
II.ニワトリ胚嗅板切除後のLHRHニューロン発生
阿久津 聡
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1994 年 40 巻 1 号 p. 78-82

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抄録

視床下部ニューロンは間脳第三脳室上衣層より発生すると考えられているが, 最近黄体化ホルモン放出ホルモン (LHRH) 産生ニューロンは鼻の原基に由来し発生の進行とともに, 脳内に移動するという仮説が出された. 今回, この仮説を実験的に証明するために, ニワトリ胚の鼻の原基を切除した後のLHRHニューロンの発現を調べた. 鼻の原基である嗅板を完全に切除すると, 非切除側では正常発生と同様にLHRH陽性ニューロンは嗅上皮から嗅神経に沿って脳内に移動する像が観察されるのに対し, 切除側では脳内・脳外のどこにもLHRHニューロンは認められなかった. また, 嗅板の切除が不十分で嗅上皮の一部が残存した例では, LHRHニューロンが脳に到達しない嗅神経と残存した嗅上皮にとどまっているのが見られたが, 脳内には認められなかった. これらの結果から, LHRH産生ニューロンは鼻の原基より発生し, 発生の進行とともに嗅神経という誘導路に沿って脳内に移動する可能性が強く示唆された.

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© 1994 順天堂医学会
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