抄録
全国的にも数少ない, 大都市近郊における精神科単科の大学病院の果たし得る役割を把握するために, 外来統計調査を実施した. 当院は平成元年度に, 一般の単科精神病院から大学病院へ移行した経緯をもつ. 今回は第1報の考察を踏まえた上で, 移行前後の外来の諸特徴を多方面から考察し, その特徴と問題点をさらに明確化した. 当院では大学への移行により, 外来患者の疾患構成, 受診経路などが変化し, 外来対象は一般の大学病院に類似してきた. その結果, 単科でありながら, 大学病院に課された役割を果たしつつあることが確かめられた. 一方, 当院における個々の患者の外来治療継続期間は長く, 大学病院でありながら, 地域に根差した外来治療行為を行い得ることも示された. しかしこれにより, 外来患者数の急激な増加を招き, きめの細かい治療が行われにくくなる危険性も指摘された. また今回の報告では大学移行前後の患者動態の変化より, 大都市近郊の精神医療の遅れ, 診療圏の乱れの実態をとらえた.