1995 年 41 巻 3 号 p. 331-337
腎細胞癌の治療は, 現在までのところ根治的腎摘除術以外には, 確立された治療法はないと言ってよい. しかし, 近年の超音波診断法やCTスキャンなどの画像診断法の進歩により, 比較的小さな腎細胞癌が発見される機会が増え, これに伴って, 副腎保存手術や腎部分切除術などの縮小手術が試みられ, 広い意味でのQOLの向上が図られるようになってきた. また, 放射線療法や化学療法が無効で, 極めて予後不良であるとされてきた転移性腎細胞癌に対しても, インターフェロンに代表されるサイトカイン療法が積極的に試みられ, ある程度の効果を上げている. 腫瘍免疫を増強する方法として, LAK療法やTIL療法などの養子免疫療法が試みられているほか, 最近では, サイトカイン遺伝子を導入した腫瘍細胞を用いた腫瘍ワクチン療法も, 米国で臨床試験に入っており, その成果に期待が寄せられている.