順天堂医学
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原著
小児におけるC型慢性肝炎の病理組織学的検討
-B型慢性肝炎との比較検討を含めて-
乾 あやの
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1995 年 41 巻 3 号 p. 338-348

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抄録

小児のC型慢性肝炎の病理組織学的特徴を明らかにする目的で, 成人のC型慢性肝炎に特徴とされる病理所見 ( (1) リンパろ胞 (2) 胆管変性 (3) 好酸体壊死 (4) 肝細胞の脂肪変性) を検討し, 併せて小児期のB型慢性肝炎の病理所見と比較した. その結果, 小児期のC型慢性肝炎では成人のような所見 ( (1) - (4) ) は認められなかった. しかし基礎疾患に血液・悪性腫瘍疾患を有する症例は, 有しない症例に比して成人に特徴的な病理所見が比較的多くみられた. このような小児と成人の病理組織像の相違は, 小児ではC型肝炎ウイルス (HCV) 感染期間が短い症例が多いことに加えて, 小児と成人でのHCVに対する免疫応答の差, 感染時の年齢, 成人におけるhepatotoxic agentの存在などに起因すると考えられた. 一方, 小児のC型慢性肝炎は小児のB型慢性肝炎と比較しても特徴的な相違が見出せず, むしろB型慢性肝炎の方がpiecemeal necrosisおよびbridging necrosisが有意に高率にみられ, 組織学的に進行している症例が多かった.

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© 1995 順天堂医学会
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