1995 年 41 巻 3 号 p. 349-354
Schonlein-Henoch purpuraにおける臨床症状の改善効果を第XIII因子濃縮製剤とステロイド剤について比較検討した. 第XIII因子濃縮製剤投与群では10例中8例が3日間の投与により臨床症状の改善を認め, 再発例はなかった. 他方, ステロイド剤投与群では投与3日後までに10例全例, 症状の改善を認めたが5例では症状が遷延あるいは再燃し, ステロイド剤投与期間は平均26日におよんだ. 腹部症状に対して第XIII因子濃縮製剤投与群では6例で症状の改善あるいは消失を認めたが, 2例ではステロイド剤投与を要した. 他方, ステロイド剤投与群では2例で血便が遷延し, 1例は腹痛の再燃を認めた. 両群ともに副作用を認めた症例はなく, 入院日数, 腎炎合併率にも差はなかった. 以上より第XIII因子濃縮製剤はステロイド剤にとって変わる治療法ではないが, 投与期間が短く副作用のない点では有用な治療法であると考えられた. Schonlein-Henoch purpuraに対して第XIII因子濃縮製剤が効果的な症例としては, 重症度が中等症以上かつ凝固第XIII因子活性が90%未満の症例と考えられた.