1996 年 42 巻 3 号 p. 297-303
頭頸部癌に限らず, 癌の治療の最大の目的は, 癌を根治せしめ, 生命を延長させることにあるが, 頭頸部癌においては再発しても比較的長期生存が可能であり, 最後まで全身状態が保たれていることが多い. しかし, その反面, 苦痛が長期化することは避けられないことが多い. それだけに, 如何にして苦痛を緩和し, 患者の残された生命のQOLを高めるかということが医療従事者にとっての重要な課題である. 頭頸部癌患者は, ターミナル期においては, 疼痛の他に, 呼吸障害・嚥下障害・悪臭・出血・顔面頸部の醜形, そして発声障害などの頭頸部癌患者に特有の問題に遭遇する. そのような諸症状を早期より解決するように, 積極的に努力することがわれわれ医療従事者にとっての指命である.