順天堂医学
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特集 癌再発とターミナルケア
婦人科癌のターミナルケア
古堅 善亮鈴木 正明桑原 慶紀
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1996 年 42 巻 3 号 p. 304-308

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抄録

産婦人科領域の癌としては子宮頚癌・子宮体癌・卵巣癌・絨毛癌などがある. そのなかで, 今回は一般の癌と比較して進展のスピードがやや遅く, しばしばターミナルケアのありかたが問題となる子宮頚癌について述べる. 子宮頚癌は昭和20年から30年代では, 女性において胃癌についで死亡率が高かった. しかし検診の普及により, 現在では0からI期で治療される者が70%を占め, 死亡者数は約半数に激減し, 死亡率も胃癌・乳癌・肺癌・大腸癌などを下回ってきている. 子宮頚癌の進行は局所への直接浸潤が主で, 治療は手術療法・放射線療法が中心で, 最近では化学療法も併用されるようになってきている. 進行子宮頚癌や再発子宮頚癌ではしばしば膀胱腟瘻. 直腸腟瘻を形成する. 以前はその部分に致死的感染や出血をひき起こしたりして, いちじるしく患者のQOLを妨げるものであった. 最近では人工肛門や腎瘻をおくことにより, 比較的長期の生存や, 一時的な退院が可能となってきている. 今回はこのような子宮頚癌の疼痛管理を含むターミナルケアについて報告する.

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© 1996 順天堂医学会
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