1996 年 42 巻 3 号 p. 349-356
1992年, 順天堂医院臨床検査部への自動血球計算/白血球分類装置コールター-スタック-S (COULTER STKS) 導入を機に, 同装置による血球計測値に関して基準範囲の統計学的設定を行った. 本報では, 白血球数 (WBC) および血小板系計測値-血小板数 (PLT) ・血小板クリット (Pct) ・平均血小板容積 (MPV) ・血小板サイズ分布幅 (PDW) -に関して検討した. 統計学的検討により得られた基準範囲は従来の参考値より若干の変化が認められた. さらにPLTとMPVの相関関係を検討し, PLTの減少に伴うMPV・PDWの変化について考察した. PLT値とMPV値の間には負の相関関係が認められ, MPVの正常域はPLT-MPVノモグラム上で帯状範囲としてあらわすことができた. MPVノモグラムを参考にしながらPLT・MPVを把握することは, 病態の推定や血小板減少性疾患の診断, 経過観察を行う上で有用な指標となると考えられ, 臨床面での有効利用が期待される.