順天堂医学
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原著
イヌ実験膵管癌モデルにおける過形成・異形成のAgNORs染色, PCNA染色を用いた細胞増殖能に関する研究
--膵管癌初期像の検討--
中村 啓
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1996 年 42 巻 3 号 p. 368-377

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抄録

イヌの膵管癌モデル9頭においてArgyrophlic Nucleolar Organizer Regions (AgNORs) 染色とProliferating Cell Nuclear Antigen (PCNA) 染色を用いて細胞増殖能からみた膵管癌の初期像について検討した. 病理組織学的にはN-ethyl-N'-nitro-N-nitrosoguanidine (ENNG) 総投与量350mg以上の群で膵管癌がみられ, 同時に膵管上皮の異形成・乳頭状過形成も認められた. ENNG総投与量130mg以下の群で過形成が認められた. 主膵管上皮のAgNORs scoreとPCNA陽性細胞比率は, ENNG総投与量の増加にしたがって増加し, 350mg以上の群と130mg以下の群では有意差を認めた. 正常膵管上皮・過形成・異形成・膵管癌と組織学的異型度が増すにしたがってAgNORs scoreおよびPCNA陽性細胞比率が増加し各組織間で有意差を認めた. また各組織間においてAgNORs scoreとPCNA陽性細胞比率の間には正の相関関係が認められた. イヌ実験膵管癌モデルの検討から, 腫瘍様病変としての膵管上皮の異形成が, 膵管癌の初期像として重要であることが推測された.

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© 1996 順天堂医学会
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