抄録
脊髄障害が脊髄伝導路および脊髄血流におよぼす影響を検討するために, 脊髄切断. 圧迫時の下行性脊髄誘発電位と損傷脊髄の血流量を測定した.
雑種幼犬26頭・日本猿4頭を用いて, 切断. 圧迫時の経頭蓋電気刺激および経頭蓋磁気刺激による下行性脊髄誘発電位と, さらにイヌにおいては, 障害前の血流量と障害部位より頭側および尾側における脊髄血流量の変化を測定した.
イヌでは脊髄切断時に, 経頭蓋電気刺激による第2成分と経頭蓋磁気刺激による第1成分の振幅は, 後側方切断によって大きく減少し, 経頭蓋電気刺激による第1成分の振幅は, 切断を腹側に進めていくにしたがい, より大きく減少した. サルでは経頭蓋電気刺激による第2成分と経頭蓋磁気刺激による第1成分の振幅は後側方で大きい傾向がみられ, 経頭蓋電気刺激による第1成分の振幅は腹側よりで大きかった. イヌ・サルとも, 経頭蓋電気刺激による第2成分と経頭蓋磁気刺激による第1成分の潜時がほぼ同様のパターンを示した.
切断・圧迫など, 何らかの障害が脊髄に加わると脊髄血流量は一時的に増大するものが多く, そのパターンは多様であった. イヌの血管形態は個体差が大きいため, 損傷脊髄の血流量においては, 増減のパターンが多様であると考えた. 切断部より頭側で血流が増大するものが多く, これは単に, 根動脈により髄節的に血流が保たれているのではなく, 前および後脊髄動脈による頭側よりの代償も関与しているのではないかと考えた. 多少の増減はあるが, 切断部より頭側・尾側, いずれの部位でも血流は保たれていた. 圧迫部より尾側でも血流は保たれていた.