順天堂医学
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原著
精神薄弱者更生施設職員の疲労自覚症状に及ぼす個人属性および労働環境の影響
佐藤 秀紀中嶋 和夫
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キーワード: 疲労, 職員, 施設, 精神遅滞
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1998 年 44 巻 3 号 p. 286-293

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抄録

目的: 精神薄弱者更生施設職員の勤務開始前と終了時の疲労状態を調べ, 疲労自覚症状に及ぼす個人的属性および労働環境の影響について検討した. 対象と方法: 設置されて3年以上が経過している北海道の精神薄弱者更生施設32施設の直接処遇職員を調査対象とした. 調査の主な内容は対象者の個人的属性・施設労働環境・疲労自覚症状とした. 結果: 施設職員の勤務後の訴え率は勤務前の訴え率に比して高く, また疲労の型は精神作業型であった. さらに疲労自覚症状のうち, 「ねむけとだるさ」には「年齢」「婚姻状況」「施設経験回数」「1週間当たりの勤務時間」「1ヵ月の当直日数」の5項目において関連性が見られた. 「注意集中の困難性」には「1ヵ月の当直日数」が関連していた. 「局在した身体違和感」においては「性別」と「1ヵ月の当直日数」の2項目が関連していた. 結論: 3つの疲労自覚症状に「1ヵ月の当直日数」が共通して関連していたことなどから, 前記職員の健康管理にとって, 労働環境の改善, 勤務内容および勤務形態の適正化をはかることの重要性が示唆された.

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© 1998 順天堂医学会
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