抄録
目的: がん告知を治療開始段階の重要な医療技術と捉え, 順天堂医院 (以下, 当院) におけるがん告知の現状を医療者サイドから明らかにすることをめざした. 告知に対する意識や告知率を報告した第一報に続いて, 告知を回避する理由や告知後の問題について第二報として報告した. 対象: 当院に勤務する医師200名および看護婦100名を対象とした.
方法: 各診療科ならびに看護部に依頼する形で, 質問票を無作為に配布し, 回答終了後回収した.
結果: 医師145名. 看護婦98名の合計243名から回答を得た. 告知を避ける理由としては回答したスタッフの半数以上 (61.9%) が「家族の反対」をあげた. 告知施行後に生じた問題としては, 70.0%の回答が精神的動揺をあげた. また, 臨床経験がより多いスタッフを中心にして告知やターミナルケア領域での当院のレベルに関して高くない評価が得られ, 今後の課題として精神的サポートや緩和ケア体制の確立の必要性が指摘された. そして, この領域に関する学内研究会についても69%の回答者がぜひ必要であると答えた.
結論: 第一報と合わせた今回の調査研究により, 当院におけるがん告知やターミナルケアをめぐるさまざまな問題と共に, 現場のスタッフの考える今後の課題が明らかになった. がん告知やターミナルケアをめぐる意識の向上や情報交換を通じて, がん患者の生活の質を支援する医療サービスのさらなる向上が望まれた.