順天堂医学
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原著
持久的トレーニングが若齢および老齢ラット骨格筋の熱ショックタンパク質の発現に及ぼす影響
内藤 久士小林 裕幸内田 桂吉大森 大二郎千葉 百子山倉 文幸米田 継武
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キーワード: HSP72, 加齢, 運動, 筋線維タイプ
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2000 年 46 巻 2 号 p. 203-210

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抄録
目的: 老化および持久的トレーニングがラット骨格筋の熱ショックタンパク質 (HSP72) の発現に及ぼす影響を遅筋および速筋に分けて検討することであった. 対象および方法: 若齢 (12週齢) および老齢 (100週齢) のF344雌ラットが年齢群ごとに, コントロール群および運動群の2群に分けられた (各群n=6). 両年齢群のトレーニング群は, トレッドミル上での持久的ランニングを75-80%Vo2maxの強度で1日60分, 週5日の頻度で10週間にわたって行われた. トレーニング期間終了72時間後, ヒラメ筋 (遅筋) および長指伸筋 (速筋) が摘出され, ウェスタンブロット法により, HSP72が定量された. 結果: コントロール群のHSP72の発現量は, ヒラメ筋の若齢群95±5ng・老齢群100±6ngおよび長指伸筋の若齢群22±2ng・老齢群20±5ngであり, 各筋とも年齢による差が見られなかった (P>0.05). 一方, トレーニング群のHSP72の発現量は, ヒラメ筋の若齢群116±3ng・老齢群116±4ngおよび長指伸筋の若齢群66±2ng・老齢群43±6ngで, 各筋ともに同年齢のコントロール群よりも有意に (P<0.05) 高い値を示した. しかしながら, その増加率は, ヒラメ筋 (若齢群+22%・老齢群+15%) と長指伸筋 (若齢群+200%: 老齢群+115%) では異なるものであった. 結論: 持久的トレーニングは, 骨格筋のHSP72の発現を増加させるが, 老化は速筋 (長指伸筋) において, その応答性を低下させる.
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© 2000 順天堂医学会
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