順天堂医学
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原著
廃性腹膜炎における末梢血好中球の機能に関する実験的研究
細田 誠弥
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2001 年 46 巻 4 号 p. 443-452

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抄録
目的: 担癌状態では, 末梢血好中球が増加することがあり, その意義については議論がある. そこで本研究では, 担癌状態の好中球機能について実験的に検討した. 方法: 8週齢・体重200-230gのSD系雄性ラットの腹腔に, Yoshida AH-130細胞を移植することで担癌状態とした後, 1日目・4日目・8日目に採血するとともに腹水を回収し, 末梢血白血球数 (好中球数) ・末梢血好中球機能・末梢血中および腹水中のサイトカインレベルの変動を検討した. 結果: 癌の進行に伴い, 末梢血好中球が増加し, 貪食能, 活性酸素産生能が有意に亢進する一方で, 遊走能は著明に低下した. また, 腹水中だけではなく, 末梢血中のTNF-α・IL8濃度も担癌初期から上昇し, それに呼応するように, 好中球のMac-1発現レベルの増強と, L-selectinの発現レベルの低下が観察された. 結論: 担癌状態では, 末梢血中のサイトカインレベルが上昇し, 好中球の接着分子発現が変化し, 貪食能, 活性酸素産生能が亢進する一方, 遊走能は低下していることがわかった.
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© 2001 順天堂医学会
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