順天堂医学
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診療・研究の最前線(2)
家族性パーキンソン病の分子遺伝学
-パーキン蛋白のLewy小体形成への関与-
服部 信孝
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2002 年 48 巻 2 号 p. 165-172

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抄録
最近, われわれの研究グループによって, 常染色体劣性若年性パーキンソン病 (Autosomal Recessive Juvenile Parkinsonism; AR-Jp) の原因遺伝子産物〈parkin〉がユビキチンリガーゼ (E3) であることが分かった. このユビキチン・プロテアソーム系の直接分子であるparkinの発見はユビキチン陽性の封入体を認める多くの神経変性疾患においてこの蛋白分解系が重要な機能をなしていることを示している. 特に孤発型パーキンソン病 (PD) の病理学的マーカーであるLewy小体をAR-Jpでは認めないことは興味深く, parkin蛋白はLewy小体形成において欠かせない機能をなしている可能性がある. AR-Jp患者では, E3であるparkinの機能不全により基質である蛋白が分解されずに蓄積することで神経細胞死が惹起されることが予想され, その基質に糖化修飾されたα-synucleinが候補として検討されている. α-synucleinはPDのLewy小体の主要構成成分であり, Park1とPark2に共通したカスケードが証明された. 現在遺伝子座のみで原因遺伝子が単離されていないPark3-8についてもα-synuclein-parkinのカスケードに関わっている可能性がある.
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© 2002 順天堂医学会
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