順天堂医学
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特集 二教授定年退職記念講演会
《聴え》を見る
市川 銀一郎
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2003 年 49 巻 2 号 p. 145-156

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抄録
当教室では内耳から聴中枢に至る各種情報を電気生理学的, またそれに準ずる手法の内から, 非侵襲的に得られる聴性誘発反応・脳電図・双極子追跡・f MRIなどを用い《聴え》を見ることにより, 聴覚障害の精密な部位診断法確立を目的として検討を行ってきた. 聴覚情報は聴器から聴覚中枢路を上行し, 聴中枢を経て言語中枢などに情報を提供する. 1970年代よりmedical electronicsの発展が聴覚情報についての微細な検討を可能にした. 1997年には日本脳波・筋電図学会 (現日本臨床神経生理学会) による各種の誘発電位測定指針作成に当たり, 当教室は聴性誘発電位の測定指針の作成を担当した. 現在, わが国で実施されている本反応検査はこの指針に従っている. われわれは聴覚情報が内耳から聴中枢に上行する過程を連続的に〈見る〉ため対数時間軸表示による記録を行い臨床応用している. 脳電図 (脳等電位図;Brain mapping) は頭皮上に投影される電位分布を見ることにより聴覚路の動態を知る手がかりとなり, 当教室はわが国で最も早くその研究に着手した. 双極子追跡 (Dipole tracing) は音の情報が上行する過程につき連続的にその位置, 方向などを〈見る〉ことができる. fMRIでは聴皮質近傍の情報に限られるが, 純音と語音とでは優位半球が異なるなど感音難聴における語音明瞭度の低下に関する病態を〈見る〉方法としての可能性を秘めている. これらの手法は, いづれも利点・欠点を有するが中枢聴覚路の病態を論ずる場合, 有用な情報を提供してくれる. 一方, 耳音響放射 (Otoacousitic emission;OAE) は蝸電図と共に詳細な内耳機能を非観血的に〈見る〉ことができる安定した現象である. 近年, 急速に臨床応用が成されている. 途半ばではあるが, 聴覚障害の詳細な病態をreai timeで〈見る〉ことにより速やかな診断・治療が行われる時代が近づいている. 《聴え》を見ることは生涯の夢である.
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© 2003 順天堂医学会
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