順天堂医学
Online ISSN : 2188-2134
Print ISSN : 0022-6769
ISSN-L : 0022-6769
原著
ホスピス-緩和ケア病棟の地域における機能と役割
-在宅ホスピスケアシステムの構築に向けて医師への面接調査から-
高石 純子杉本 正子荒賀 直子秋山 正子リボウィッツ志村 よし子河原 加代子
著者情報
ジャーナル フリー

2003 年 49 巻 2 号 p. 194-207

詳細
抄録
目的: 医療における在宅ホスピスケアシステムを構想する上で, ホスピスや緩和ケア病棟の地域における機能と役割についての示唆を得る. 対象と方法: 1999年11月に実施した全国ホスピス-緩和ケア病棟への統括責任医師・看護師への調査で回答のあった医師36名の中から, 同じ府県に位置する施設を2所ずつ計4所を選択し, それぞれの医師4名を対象に, 半構成式の面接聞き取り調査を実施した. 結果: 対象施設は設備面・スタッフ面ともに充実し, それぞれの特徴を生かした活動を行っていた. 在宅ホスピスケアは全ての施設で実施していた. 各施設における入院までの待機期間は1-2週間であり, 患者と家族に対しては, 早い時期に療養の場として在宅と施設の説明を行い, 自由に選択できるようにしていた. 地域に向けての活動は, 開業医や訪問看護ステーションの看護職者に対する教育, 地域住民への教育などの啓蒙活動を重要と捉えて実施していた. また対象医師は, 明確な動機をもって早い時期から終末期医療を志向しており, 患者が施設と在宅を選択できるホスピスケアの提供の実現を強く望んでいた. ホスピスケアにおける看護師の役割については, その役割を高く評価し強い期待をよせていた. 結論: 2県のそれぞれの施設では, 近年のホスピス-緩和ケア病棟の増加に違いが見られ, 今後地域性を生かしたホスピスケアの推進が望まれる.
著者関連情報
© 2003 順天堂医学会
前の記事 次の記事
feedback
Top