抄録
目的: オートファジーはバルクな分解システムで, その目標は細胞質やオルガネラをリソソームや液胞で分解することにある. Apg/Aut/Atg遺伝子産物は, オートファジーやCvt pathwayに必須である. 酵母Apg8を基質とし酵母Apg7, 酵母Apg3をモディファイヤーとするユビキチン様修飾システムが存在することがすでに示されている. われわれは酵母Apg8の哺乳動物ホモログであるGATE-16の細胞内機能を明らかにするために, GATE-16と相互作用を持つタンパク質群の網羅的解析を行った.
方法: HEK293細胞にFLAG-GATE16とApg7を過剰発現してその細胞破砕液をFLAG M2抗体アガロースで免疫沈降した. 免疫沈降したタンパク質群をSDS-PAGEで分離して銀染色を行うと高分子タンパク質群が共免疫沈降された. 高分子タンパク質群それぞれについて, ゲルを切り出しトリプシン消化をしてから質量分析とアミノ酸配列解析してそのタンパク質群を明らかにした.
結果: GATE-16にはimportinβ3とGRP94が共免疫沈降した.
結論: 共免疫沈降の結果から相互作用を持つタンパク質群として小胞体局在の分子シャペロンや核輸送担体タンパク質を見いだした. 分子シャペロンは前駆体も共免疫沈降していた.